2018年のエッセイ

ブックプレッサー 2018年 1月21日
冬のできごと 2018年 1月24日 ファンレター 2018年 2月 3日

大宮・氷川神社 2018年 3月24日
台風20号 2018年 8月24日


ブックプレッサー 2018年 1月21日

 先月中旬、本を裁断せずに、本が読める!との期待を込めて、オーバーヘッドスキャナーを買い求めました。そのとき、一緒にブックプレッサーも買ったのです。
届いてみると、それは、幅53センチ、奥行き32センチ、厚さ5ミリほどの透明アクリル板でした。確かにA4書籍の見開きに対応とありましたので、サイズからすると、そうなのです。A4の見開き、つまりA3横置きになります。サイズは、42.0×29.7(cm)で、これを乗せると、確かにうまくいくのです。でも、わたしはそのような大きな書籍をスキャンすることがほとんどないのです。文庫本か、新書版、たまにB6書籍があるくらいなのです。
実際に、文庫本でこのブックプレッサーを試してみました。文庫本、つまりA6ですが、見開きではA5横置きとなりますから、サイズは、21.0×14.8(cm)。ただし綴じ込み部分が開ききらないので、幅はいくらか狭くなります。が、そちらは問題ではりません。奥行きが、15センチほどしかないのに32センチあるアクリル板では、大きなブックプレッサーが手前に傾いてうまく本をプレスしないのです。大は小を兼ねなかったのです 笑。

 そこで、B6見開き、つまりB5横置きサイズのアクリル板を探してみました。もしそれがあれば、文庫本との教養も可能かなと思ってのことです。そしてそれはDIYショップにありました。でも、軽いのです。暑さも5ミリぐらいのを手にしましたが、割と軽いので、たぶん、閉じようとする見開き本を押さえておけるだけの重さが足りないだろうと判断しました。実際、使用されている用紙が厚く剛性が強い本の場合、A3横置きサイズのアクリル板でさえ、持ち上がってくるのですから……。

 そこで、重さを兼ね備えた透明な板となれば、やっぱりガラスでしょう。ということで、ネットで、B5サイズのガラス板を注文したのです。それにしても一口に“ガラス板”と言っても、いろいろあるのですね。調べて見て驚きました。最終的には、ネット販売サイトの担当者と、メールでやりとりして、そのサイズで充分な重さを得るためには、厚さは1cm以上。しかも透明度ができるだけ高くないといけません。また、スキャナーのLED光源を反射してもいけませんから、できるだけ反射率が低いほうが良いのです。もちろん、取り扱いで手指を切ってケガをしてはいけませんから、切断面の研磨は必要です。これらを兼ね備えたガラス板、確かにありました。でも、お値段が……、5~10万円にもなるのだとか!
まさか、そんなに高価な物を買って、もし使い物にならなかったら、どうしましょう?です。
けっきょく、低反射コーティングなし。厚さも5ミリで、透明度も通常のガラス窓用で作ってもらいました。

 それで、うまくいったのか?ですよね。

 これを書いている今、もう使っていません。
なぜ?
本を見開きできれいに開いてそこにガラス板を乗せる、しかもスキャナーから放たれるLED光源をカメラに反射しないように、微妙に左右どちらかに傾けて置くという手間暇のため、“時間”というコストがかかるのです。一冊をスキャンするために、2~4時間を費やすくらいなら、本を裁断して、シートスルースキャナーにお任せの、“お気楽さ”に軍配が上がったというわけです。

 そういうわけで、まだ、完全にあきらめたわけではありません。せっかく買った高価なスキャナーですから、借りてきた本専用とするには、ちょっともったいないかなぁです。


冬のできごと 2018年 1月24日

 前日、朝の雨、それもそれそこそこの雨のあと、強い南風が吹き荒れ、この時期の割には気温上昇。濡れた道路もすっかり乾いて、埃を舞い上げている様子。それがおさまったと思った夕刻。気温が一気に氷点下。道路は降り出した雪で冬景色。帰宅後、ネットで気象情報をチェックしてみると、最寄りのアメダスには、今朝の土砂降り級の雨も、その後の暴風も、そして夕方からの積雪も記録されていません。そういうとき、お天気って……、昔は数十キロ四方に一カ所の測候で事足りたのかもしれません……、そういうことにしていただけなのかもしれません……、これは今世紀になってからの変化なのかもしれないと思っているだけなのかもしれませんが、数キロ四方内だけの雨とか、雪を何度経験したことか……、しかも記録的な量で。そういえばこんなことがありました。ちょっと日記をひもといてみれば……、ああ、これこれ。ありました。2012年12月1日。この日は土曜ですね。仕事を終えての午後、迎えに来てくれた妻の運転するクルマに乗って、郊外へ向かう途中、突然道路に積もった雪。そしてこのまま雪になるのかと思いきや、4、5kmほど走った後、突然雪道から乾いた道路に戻ってしまったのです。さて、左右にどれほどの幅で雪が降り積もったのか分かりませんけど、おそらく帯状になっているのだと思います。その帯が、偶然アメダスの測候に引っかかれば降雪と記録されているかも?です。ということで、日記には、目の前で起きた気象現象を、そうしておいた方がいいと思うときだけですけど、書いておくことにしているんですね。

 24日の朝、玄関から外に出てみると、ざっと20cmほどの積雪。しかも降り続けているので、まだ増えるに違いないといった様子です。とりあえず、除雪用のスコップで玄関から、カーポートまでをささっと左右に掃くように雪を除けます。そして、クルマの前に積もった雪、次に道路に積もった雪もぱぱっと取り除きます。
路面がすっかり露わになるように、きれいさっぱり取り除くやり方もあるのですが、今は時間のほうが優先されます。とりあえずカーポートまでの行き来、そしてクルマが出庫するにあたって問題なければいいのですから。

 昼休み。パソコンに向かっていると、いつもオンワで優しい男性ケアワーカーのHくんがやってきて、「……を知っていますか?」と言います。
彼は、仕事に関係する新しい情報をもたらしてくれたりと、いろいろと話し相手になってくれます。今回は、本を一冊持って来ての話でした。
そのとき彼の口から発せられた単語は、全く聞き覚えのないものだったので、「いや、知らない。たぶん聞いたこともないと思うけど、それは何?」と、返しました。
すると、意味ありげに「これがその本なんですけど、一度読んでみてください」と、手渡すのです。受け取った本は、B6版の単行本で、そこそこの厚さのある本です。「分かった、ありがとう。読ませてもらうよ。で、これいつまでに返せばいいのかな?」と聞けば、「もう読んだんで、急ぎません。いつでもいいですよ」と、彼は自分の仕事に戻って行きます。
借りた本をまさか、裁断してしまうわけにはいきませんから、見開きでスキャナにかけることになります。少々手間ではありますが、彼がそこまで言うのですから、きっと読むべき内容の本に違いありません。彼が午後の仕事に入るために立ち去った後、それおロッカー室へと……。

 仕事が終わって、迎えに来てくれた妻の車に乗ったのは午後6時半。降り続く雪もさることながら、それによって引き起こされた交通渋滞によっていつもなら30分もかからない距離に2時間かかったのだとか……。こういうことは雪が降ればいつものことなので、なるようにしかならないというわけで、カバンを助手席に載せてドアを閉めます。
ミルと、クルマの屋根には積もった雪がどっさり。そしてタイヤハウスの中も着雪着氷が詰まりに詰まっています。これをこのままにしておくわけにもいきません。そこで車体の雪を落とした後、融雪のためのホースを引っ張ってきて、タイヤハウスの中の雪と氷を溶かして落とします。そうして出発です。
職場から離れて最初の大きな交差点。右折したいのですが、ここで最初の渋滞。その後も、のろのろ運転。ようやく家に着いたのは、午後8時半。クルマを降りて積雪を確かめると30cmはかるく越えている様子です。明日は、早朝の雪かきから始まる気配ありありです。


ファンレター 2018年 2月 3日

 先日借りた本、さっそくオーバーヘッドスキャナで読み取って、OCR。出力されたテキストは、シートスルースキャナを通して得られるものに比べれば、60点かそこいらといった程度。それでも、ないよりはましなので、それをせっせと読む?というか、誤認識文字に悩まされながらどうにか意味を掴もうとする根気のいる作業の結果、これは面白い!という手応えを得たのです。
ただ、それにしても所々に誤認識文字ならぬ、誤認識行や、誤認識表や誤認識ページ。これ、どうにかきちんと読みたいなと思いますが、また、オーバーヘッドスキャナでOCRする気にはなれず……、というのは、ソフトが使いにくいのです。今スキャンした画像を、即OCRして確かめ、うまくいってなければ、その画像を破棄して、もう一度同じページを、ちょっと開き具合を変えるなどすれば、得られるテキストも変わりますから、そういう手続きをしたいなと思うのですが、そういう使い方ができないのです。もちろん、メーカーに問い合わせていますよ、とっくに。でもねぇ……なんですよ。ということで、もうこのスキャナはだめかなぁ気分なんですよね。
スキャナが悪いわけじゃなくて、それを使いこなすソフトがいまいち?いえ、いまさんってことですね。

 ではどうしたものだろう?と考えるまでもなく、オーバーヘッドスキャンのやり直しはあきらめました。貸してもらった本はすぐに返して……、と同時に同じ本を注文しちゃったわけです。そして届いてすぐばっさり背表紙を切り落として、シートスルースキャナを通してってやっちゃったんですね。

 そうして読み直してすぐ、これもっと実用したい!しかもお手軽に!とおもったわけです。
ここに書いてあること、いちいちページ開いて確かめてとやるのは、やっぱり面倒です。ということは、やっぱりこれっきゃないでしょ!ということで、プログラミングに取りかかり、できました!これで、プログラムを起動して、基礎データをインプットするだけで、結果を表示するというものができたのです。
感動!ですねぇ。ならば、すぐに著者さんにお礼を送ろう!と思って、本の奥付を調べましたが、見当たりません。しかたがないので、出版社に直接、著者の方に転送してくださいとお礼とともにプログラムを作って私的に使っていますとファンレターを送信したのです。
今のところ、難の音沙汰もありません。ですので、いいのだろうと解釈して、プログラムに手を加えてより良いものにしているというきょうだったりします。


大宮・氷川神社 2018年 3月24日

 わたしは、妻が以前お参りしたことがあるという埼玉県大宮の氷川神社に、いつか行ってみたいと思っていました。今回たまたま、そこを通りかかるし、時間もたっぷりあります。そういうわけで、『大宮駅途中下車』を旅のプランに入れたのでした。

 時刻は9時を少し過ぎています。大宮駅前は、歩く人もまばらで静かです。わたしは、妻と、駅前の道を歩いて行きます。歩きながら、妻から以前に聞いた話……、そのときは、あまり時間がなかったため、ゆっくりできなかった。だからいつかゆとりを持ってお参りに来たかった……を思い出していました。そして妻が、ここが参道よと言います。
この参道、入口は、もっと遠くにあるのだそうで、もし、そこから歩こうと思うと、30分は覚悟とのことです。わたしたちは、もちろんずるすることにしていましたから、そこからスタートです 笑。
今年、東京は桜満開が報じられていました。なので、ここでも見ることができるかな~と、ちょっと期待していたんですけど、参道に入ってみてすぐ、桜そのものがないことに気がつきました。(参道を歩いて行くと、まもなく、一本、二本ぐらいはありましたけど)

 氷川神社に着いたわたしたち、妻の希望で、ご祈願をしていただくことにしました。拝殿横の神札授与所で、初穂料を納め、申込書を書いて渡します。開始は10時と案内され、その後祈祷殿に入ります。

 ご祈願を終えて御神札をいただいた妻とわたしは、祈祷殿から出て、泉が湧出しているというわき水の池を見ようと、境内に出ます。一緒にご祈願を受けた方々は、ほとんど帰られたのか、歩いている人は、誰もいません。まるで貸し切りです 笑。
『ここいいね』と思えるわき水の小さな池の前で、泉の中をのぞき込んだり、写真も撮ったり、とにかくこの時期にしては、暖かいお日和、なんかほっとします。ほとんど誰もいないといういのも良かったのかもしれません。

 気温も少しずつ上がってきて、ますます“春”な感じです。時計を見れば、11時を過ぎていました。
「そろそろ行こうか」
一礼して境内を後に下わたしたち、大宮駅に向かうことにします。

 きょうは、品川駅発13時34分のこだまに間に合えばいいので、まだ大丈夫。参道で見つけた桜、数少ない貴重な桜……、五分咲きを写真に収めていますと、そよ風に乗って、醤油の焼ける香ばしい香りが届いてきたのです。
「もしかしてせんべい?」
「そうね」
「ちょっとくすぐられるね。行ってみようよ」
「こっちだわ」

 参道から右に向かう横丁に入って行くと、左にありました。昭和の雰囲気のお店。引き戸を開いて入ってみます。まもなく現れたおかみさん、年の頃はわたしたちより、もう少し若いのかな?……に、聞くと、古くからの手焼きせんべいと教えていただきました。どれもおいしそうです。これなら、きっと子供たちも喜ぶに違いありません。焼きたてのを四つ、いろいろと取り合わせて買い求めたのでした。

 お店を出たわたしたち、参道に戻り、大宮駅のホームで待っていると、電車が入線してきました。11時33分発、小田原行きです。


台風20号 2018年 8月24日

 この日の午後、休暇を取りました。といってもそれがどちらのタイプの休暇なのか?ということなのですが……。
休暇を分けると一言で言っても、いろいろあるかと思います。ここでは、こういう切り口で……、ということで、休暇には2種類あって、一つ目は有給の消化です。たぶん、そのうち労働基準法の改正があって、年にどれだけかの休暇を義務化されるのかもしれません。この手の詳しい話は、そちら側の人に任せておくとして、きょうは、そちらのタイプではない休暇。ほんとに“取りたい!”と待っていました!という気分で取る休暇の日なのです。

なのに、台風ですよ。
そのせいで、昨夜から暑い風が吹いて気温が下がらず。最低気温も27度だったのだとか……。もしかしてどうなっているの?とネットをチェックしてみれば、……。

2018年08月24日の天気概況(2018年08月24日)

未明に、関西空港で38.1メートルの最大瞬間風速、京都市京北で85.5ミリの猛烈な雨(観測史上1位)。奈良県上北山で午前2時30分までの24時間雨量が500ミリ超。四国や近畿で影響大。日本海側で気温が上昇。最高気温は鳥取市青谷で38度3分。

過去の気象衛星(日本付近)(2018年08月24日) - 日本気象協会 tenki.jp

 午前の仕事を終えて、午後1時半、着替えて外に出れば、猛烈に暑い風が、もわっっと身体を包み込みます。それが通り過ぎたと思う間もなく、また次、そしてまた次と、熱されたセメンととアスファルトの隙間を通り抜けてきた熱風が駆け抜けていきます。『これは絶対体温より高い!』そう思っているところに妻の運転するクルマが来ました。助手席のドアを開いて乗り込めば、エアコンで冷やされた快適な空間。
「たすかったよ。ありがとう。もう10分もいたら、きっと溶けてしまうところだった」
そのとき、「はい」と、妻から手渡された冷たい缶コーヒーに、思わず感謝!

「お腹すいたわね」と、妻。
「そうだね、ペコペコだよ。手近なところで、……のフードコートはどう?あそこでパスタなんていいんじゃない?」ということで、ショッピングセンターの駐車場にクルマを駐めたわたしたち、熱されたフライパンみたいなアスファルトの上を急ぎ足で横切ったのでした。

 この日の楽しみは、温泉宿。
遅い昼食をいただいた私と妻。ショッピングセンターを出て一路温泉地に向かいます。他に何の予定もないので、予約してあるホテルに夕方までに着きさえすればよいのです。ただ気になるのは台風です。
空は、どこに台風がいるの!?とつい思ってしまうほどのいい天気。そして道は平地から山間の湾曲した登りにさしかかります。そこを右に左にとカーブを切って進んでいき、トンネルに入ります。そしてそこを抜けると、そこは……えっ!うそ?というような土砂降り。
ワイパーフル回転でフロント窓にたたきつけてくる雨水を飛ばしますが、全く間に合っていません。前をゆくクルマのテールランプが見えなくなるほどの雨!と、思った瞬間。何事もなかったかのように、雨は終わってしまいました。
でも、すぐにまた土砂降りの中に突っ込みます。しかし、それも長続きせず、晴れたと思えば、土砂降り。また晴れたと思った直後に土砂降り。これをくり返すうちに、小雨になり、とうとうそれも終わりました。
「いったいこの雨は?」

「まだこんな天気続くのかしら」
「分からないよ。ないほうがいいに決まっている」
「怖かったわ」
「そうだね」
結局、この日、あの滝のような雨は、そこだけだったのです。その後、ホテルに着くまで、道路は全く乾いていたのですから。

 ホテルにチェックインしたわたしたち、ちょっとゆっくり。外は、薄曇り。そして蝉時雨と、水の流れる音。
その流れる水音に魅かれるように、「お風呂、どう?」と、声をかけます。
そうなんです、何を隠そう、その流れは温泉なのですから。

 その夜、小雨が降ったこともあってか、気温は熱帯夜とはほど遠いほど下がってくれました。そして翌朝も爽やかな風を感じながら露天の湯を楽しんで、ぎりぎりまでくつろいでのチェックアウト。
わたしたちは、こういうとき、どこにも行かないのです。ただ日常を離れるためにだけホテルに泊まって、スマホもパソコンもテレビもない非日常を過ごして、そして他のお客が誰もいなくなった頃合いをみて、のんびりチェックアウトし、そしてただ家路につくのです。

「小雨やんだね」
「そうね」
「台風は遙か東の彼方でしょう」
「もういないわね。気温が上がってきているわ」
「そうか」

 家に帰り着く前に、車載温度計は、35度に……。